心の散歩道

講演録「創業に対する心構えと成功のポイント」第二部

日本一になれ

イビデンを退社してから、実家に帰って八百屋(スーパー形式)をやることになりました。兄が病気でどうしても出来ない、それで私が八百屋を継ぐことになり、その時に材木屋の親父さんに「日本一の八百屋になれよ」と言われました。日本一の八百屋になれと言われても、この時にはダイエーもあるし、イトーヨーカドーもあるし、なれるわけがないと思いましたが、これは私の与えられた最大の課題だったんです。 
 どうしたら日本一になれるのか、私の感じたものは、規模ではなく「プロになるんだ。八百屋の中のプロ中のプロになる」ということでした。では、どうしたらよいのか。お客様から、例えばジャガイモのことを聞かれたら、「ジャガイモはここの産地のものが、この時期に食べたら一番おいしいですよ。そして、これはストレス性潰瘍に効きます」とか、「ジャガイモを食べる国には痛風が無い」とか、そういう諺(ことわざ)とか効用を勉強して、お客様にすぐ応えられるようにしたのです。しばらくして八百屋の店頭に、ジャガイモの効能、にんじんの効能等を用紙にを書いてズラッと貼りました。これは一時スーパーでブームになりました。日本で初めてやったのが私です。今はもう貼らなくなりました。 
 材木屋の親父さんに「日本一になれよ」と言われたから出来たのです。残念ながら八百屋では日本一になれませんでした。しかし、「ゴキブリのいない町づくりで日本一になりました」と電話で報告したら、本当に喜ばれました。 
 日本一になれと言われたことに対して、どうしたら日本一になれるのか。当社のことを具体的にお伝えします。一番簡単なのは、「工場の床が日本一のピカピカ工場」と宣言したことです。では、日本一の床のピカピカ工場になるにはどうしたらいいか。1日に4回磨く。朝来たら磨く、昼に磨く、午後3時に磨く。そして汚れてないにもかかわらず帰りにも磨く。いつも床はピカピカになる。日本一という誇りが会社の中の雰囲気をよくする。何かこれだけは負けないということで、胸が張れる。